標高4095mのキナバル山、中腹にキナバル国立公園とポーリング温泉公園。
2011-9-26〜10-8



主要更新
◆'22-8-19:友人T.E氏より情報あり。Avibaseにボルネオのシロハラアナツバメは2008年にボルネオ固有の独立種として認められたとある。したがって本ウェブサイトでも独立させた。
◆'13-1-9:チャボウシガビチョウをチャズキンガビチョウに改名。
◆'11-11-11:未確認鳥-09をジャワアナツバメとす。
◆'11-11-7:未確認鳥-09追加
◆'11-11-4:カレハゲラ見落としを発見。
◆'11-10-10:本欄新設。

  ・ 9-26〜9-30 --- キナバル公園/ボルネオ   Kinabaru Park in Borneo
  ・ 9-29〜9-30 --- ポーリング温泉公園/ボルネオ   Poring Hot Springs Park in Borneo
  ・ 10-1〜10-5 --- セピロク熱帯雨林/ボルネオ    Sepilok Rain Forest in Borneo
  ・ 10-6〜10-8 --- クアラセランゴール自然公園   Kuara Selangor Nature Park in Malaysia



■キナバル公園およびポーリング温泉公園
 マレーシアに四年赴任していた友人K.K氏の案内で共に探鳥した。最初に訪れたキナバル公園は、東南アジアの最高峰のキナバル山(標高 4,095)の中腹にあり、標高1,500mから1,900mの範囲におよぶ広大な密林公園である。気温は25度前後と快適な環境で、ボルネオ固有の種も多く、バーダーのあこがれの地の一つである。

 撮影環境も快適で、初日および二日目はレストランのベランダから庭に来る野鳥を撮影した。後は周辺の自動車道をたどって探したが、レストラン周辺ほど密度は高くなかった。

 三日目は標高500mのところにあるポーリング温泉を訪れ、森林の中を歩き回った。帰り際、小さな人工の水たまりにミツユビカワセミを見つけ、興奮して撮影した。ただ、暗くて遠いので画像は貧弱である。翌日フラッシュを持って訪問することを誓った。

 四日目は朝暗い内からミツユビカワセミの止まりそうな枝の側に陣取って待った。期待通り現れてフラッシュで撮影した。
 日本ではフラッシュ撮影は遠慮するべきと言う不文律がある。野鳥にとってストレスになるからという理由であるが、実際やってみるとカワセミ自体はほとんど意に介していないようで微動だにしない。マレーシアでは普通に行われている。

 キナバル公園およびポーリング温泉公園で私にとって新種の野鳥、25種の撮影ができた。ただ、何回も梢の上を飛んだBornean Treepieが撮れなかったのは心残りである。

 ここでの宿は70リンギット(約2000円)。エアコンが無いとのことだったので心配したが、さすが1,500mの高原、夜は毛布が必要なほどの気温だった。一度チャーハンらしき夕飯を頼んだが、我が人生で最もまずい飯の一つだった。それでもそれしかないから全部平らげた。次からは公園の売店で聴いたうまいレストランを探し、これ以後ここで食事をした。300円弱のメニューがほとんどだったがけっこういけた。



■セピロク熱帯雨林
山麓の野鳥とは異なる種類を撮ろうと計画したものである。熱帯雨林に入るとにまず湿気の高さに辟易した。気温自体は日本の猛暑に比べれば低い。多分35度は超えていないだろう。しかし湿度は限りなく100%に近い感じで、体感温度は40度を超える。シャツはすぐびしょびしょになり、絞れば汗が垂れる。実際密林の状況を見てその理由が理解できた。

 ここでは毎日夕方から夜にかけて、1−3時間激しいスコールがある。粘土質の土はあまり水を吸わないが、密林の中はほとんど風が通らず、乾きも遅い。さらにびしょびしょに濡れた地面が乾くまもなく次のスコールが来る。となれば地面付近は湿気と水の平衡状態で、限りなく100%に近いだろう。

 道を外れると木々や下草、ツルが密生しているので、常にこれらを切り払わねば進めない。湿度と木々の密生具合を体験すると前の大戦でこの密林をさまよった兵の地獄の一端を垣間見る思いがした。

 熱帯雨林の土壌は肥沃ではないと聴いていたが、実際見ると想像以上で粘土質の土の上に2,3枚の枯れ葉が載っているだけで、いわゆる肥沃な表土がほとんどない。毎日の激しい雨で流れ去ることもあろうが、気温が高いので腐敗も速いのであろう。熱帯の川は透明ではなく濁っているが、これは主に植物が分解されたタンニンなどが溶け込んでいるからだそうである。

 予想とは逆に雨林中には蚊がほとんどいないことに驚いた。虫も少ない。温帯の日本の方がよほど蚊も虫も多い。ただ、ホテルの周辺には蚊がいたから、人間の血を吸わなければ種の存続ができない蚊にとっては、人のいない熱帯雨林は住みづらいのであろうか。

 また、鳥の密度も決して高くはない。もちろん見る鳥見る鳥初めてのものばかりだから興奮するが、出遇う鳥の数は多くない。それでも、念願のトロゴン2種、ブロードビル1種に遇えたのは格別うれしかった。とくにブロードビルの愛らしい姿は私の最も好きな野鳥である。また、クリムゾンサンバードをいやと言うほど撮影できたのも楽しい思い出である。ただ、ブリストルヘッドが近くに来ながらまともな写真が撮れなかったことに悔いが残る。

  ここの宿は98リンギット(約2700円)。二人でシェアしたから、一人1350円。ちゃんとエアコンがあったので、湿気の多い夜でも快適だった。ここには欧米人が数組泊まっていた。湿気といえば、部屋に置いておいたカメラを朝外に出すと、1時間以上レンズが曇ってつかえない。ボディーは水に濡れたようにてかり、なかなか乾かない。まるで霧のなかにいるような状態である。



■クアラセランゴール自然公園
 帰りにマレー半島に寄った。丸2日あったので、近くのマングローブ林のあるタマン・アラム(別名、クアラセランゴール自然公園)へ行った。前二カ所と異なる種類の野鳥がここでも多く撮れた。2日間で13種ライフリストが増えた。この公園はほとんど流れていない小川や溜まり水があるせいか、結構蚊がいた。やはり人家に近いほど蚊が多いと感じる。

 公園の中のコッテージは一部屋60リンギット(約1,680円)で、二人でシェアしたから一人840円である。値段相当のたたずまいで、鍵は無いに等しく網戸は隙間だらけで、日本にいるような小さなアリが部屋中にはい回っている。とくに洗面所がひどく、水しかでないシャワーでまずアリを流してから使う。タオル、石けんなどはもちろん備えていない。が水洗なのがせめてもの救い。

 朝早く出るから昨晩レストランで作ってもらったハンバーガーを食べようとしたらアリが沢山たかっていた。払ったがマヨネーズにたかっているのは取れない。ままよ、これもタンパク質だと一緒に食べた。アリを主食にしている動物や鳥もいるから大丈夫だろう。何せ人間が最も悪食の動物だ。クアラセランゴールではかなりワイルドな生活だった。



■ペリカン目

■ムラサキサギ  Purple Heron


■アオサギ  Grey Heron  <巣作りの真っ最中>


■コサギ  Little Egret


■クロサギ  Pacific Reef Egret


■タカ目

■シロハラウミワシ   White-bellied Sea Eagle


■カラフトワシ  Greater-spotted Eagle


■シロガシラトビ  Brahminy Kite


■キジ目<写真をクリックすると詳細ページへ移動 / Click to detailed contents!>

■ニワトリ  Domestic Chicken

■チドリ目

■キョウジョシギ  Rubby Turnstone (日本と違って非繁殖期なので羽に橙色がなく、地味な褐色のみ)


■イソシギ  Common Sandpiper


■ハト目

■カノコバト  Spotted Dove (Spotted-necked Dove)


■コアオバト ♀  Pink-necked Green Pigeon


■チョウショウバト  Zebra Dove


■ドバト  Feral Pigeon


■カッコウ目

■アカメテリカッコウ  Little Bronze Cuckoo


■アカハシバンケンモドキ   Red-billed Malkoha


■チャムネバンケンモドキ   Chestnut-breasted Malkoha


■オオバンケン  Greater Coucal


■アマツバメ目

■ボルネオアナツバメ  Bornean Swiftlet  (これは巣作りの仕草をして雄を誘っているらしい。まもなく交尾した。)


■ジャワアナツバメ  Edible-nest Swiftlet  (4種の候補のうち、もっとも確率の高いジャワアナツバメとした。)


■キヌバネドリ目

■アカエリキヌバネドリ  Red-naped Trogon


■コシアカキヌバネドリ  Scarlet-rumped Trogon


■ブッポウソウ目

■ミツユビカワセミ  Black-backed Kingfisher


■ナンヨウショウビン  Collared Kingfisher


■コウハシショウビン  Stork-billed Kingfisher


■ブッポウソウ   Dollarbird  2011-10-7


■ルリオハチクイ  Blue-tailed Bee-eater  <ムネアカゴシキドリ(Coppersmith Barbet)(左下)と共に>


■ルリノドハチクイ   Blue-tailed Bee-eater 2011-10-3


■クロサイチョウ  Black Hornbill


■キツツキ目

■ズアカミユビゲラ  Common Flameback  


■タケアオゲラ  Laced Woodpecker


■カレハゲラ ♂  Buff-necked Woodpecker/


■ヒメカレハゲラ ♀  Buff-rumped Woodpecker/


■マレーコゲラ  Sunda Pigmy Woodpecker


■クリチャゲラ  Rufous Woodpecker


■ムネアカゴシキドリ  Coppersmith Barbet


■スズメ目

■クビワヒロハシ  Black-and-yellow Broadbill


■マダラナキサンショウクイ  Pied Triller


■ハグロヒタキサンショウクイ  Black-winged Flycatcher-shrike


■コウライウグイス   Black-naped Oriole


■カザリオウチュウ  Greater Racket-tailed Drongo


■ブタゲモズ  Bornean Bristlehead  <ひどい写真である。もう一度挑戦したいものだ。>


■チゴモズ   Tiger Shrike


■アカモズ   Tiger Shrike


■イエガラス  House Crow


■ヒメコノハドリ  Common Iora


■リュウキュウツバメ  Pacific Swallow


■アカメヒヨドリ  Olive-winged Bulbul


■アカメチャイロヒヨ  Red-eyed Bulbul


■コアカメチャイロヒヨ  Spectacled Bulbul


■シロハラカンムリヒヨドリ  Ochraceous Bulbul


■メグロヒヨドリ  Yellow-vented Bulbul


■ノドジロオウギビタキ  White-throated Fantail


■ムナオビオウギビタキ  Pied Fantail


■チャバネガビチョウ  Sunda Laughingthrush


■ボルネオチャガシラガビチョウ  Chestnut-hooded Laughingthrush


■アオメモリチメドリ  Chestnut-winged Babbler


■ムナジロチメドリ  White-chested Babbler


■ハシブトムジチメドリ  Abbott's Babbler  (タンビムジメチドリをハシブトムジメチドリに変更(2012-8-28))


■エンビシキチョウ   White-crowned Forktail


■シラガシキチョウ  White-crowned Shama


■ハジロマユヒタキ ♂  Little Pied Flycatcher

■ボルネオクリミミチメドリ  Chestnut-crested Yuhina


■ミナミムシクイ  Mountain Leaf Warbler


■マングローブセンニュムシクイ  Golden-bellied Gerygone


■チャガシラモリムシクイ  Yellow-breasted Babbler


■ズグロメジロ  Black-capped White-eye


■ハイバラメジロ  Oriental White-eye


■アカガオサイホウチョウ  Ashy Tailorbird


■ズアカサイホウチョウ  Rufous-tailed Tailorbird


■キゴシタイヨウチョウ  Crimson Sunbird


■ベニタイヨウチョウ  Temminck's Sunbird


■ノドアカタイヨウチョウ  Copper-throated Sunbird


■キバラタイヨウチョウ  Olive-backed Sunbird


■オリーブコバシタイヨウチョウ  Plain Sunbird


■チャノドコバシタイヨウチョウ  Brown-throated Sunbird


■コクモカリドリ  Little Spiderhunter


■ハシブトクモカリドリ  Thick-billed Spiderhunter


■ボルネオノドアカハナドリ ♂  Black-sided Flowerpecker


■ジャワハッカ  Javan Myna 


■インドハッカ  Common Myna


■キュウカンチョウ  Hill Myna


■ミドリカラスモドキ ♂  Asian Glossy Starling


■アイイロヒタキ  Indigo Flycatcher


■クロエリヒタキ ♀ Black-naped Monarch

■エンビシキチョウ   White-crowned Forktail  2011-9-29


■シラガシキチョウ   White-crowned Shama  2011-9-30


■シキチョウ  Oriental Magpie Robin  (ボルネオ北部の本種は亜種Copsychus saularis adamsiで、腹全体が黒い。)


■ハジロマユヒタキ   Little Pied Flycatcher


■ボルネオモズヒタキ  Bornean Whistler


■マミジロミツリンヒタキ  Eyebrowed Jungle Flycatcher


■ボルネオルリチョウ  Bornean Whistling Thrush


■イワミセキレイ   Forest Wagtail


■キンパラ  Chestnut Munia


自然の風物
 野鳥の撮影に夢中になっていたので、あまり自然の風物は撮っていないが、熱帯らしいいくつかの動植物と景色を載せた。ただ、熱帯ジャングルでは昆虫や花が沢山見られるというのはステレオタイプな見方であり、狭いながらも私の幾度かの経験では温帯地方よりむしろ少ないと感じる。目につく昆虫は日本の方がずっと多いくらいである。マスメディアのドキュメンタリーでは、抜き出してその場面しか写していないから沢山いると感じるのであろう。ただ、種類は大いに異なるから注目度は高い。

 野生ランも所々にはあるがとても少ない。まあ、珍しい種類は人の目に付くところには残っていないこともあるだろう。野生ランを見るには植物園に行くに限る



 ・三次元のクモの巣
 ・ビャクロウムシ(Lantern Fly)


 ・びっしり働き蜂に覆われた巣

 ・黒いリス                     ・数種類のサルに出遇った
 ・ムササビの仲間?                 ・ミズオオトカゲ(Water Monitor Lizard)
 ・ハチドリが頻繁に訪れる              ・人工の小さな池の淵、栽培花
 ・日本の1.5倍の大きさ                ・ウツボカズラ
 ・バナナ                      ・パパイヤ
 ・硬くて素手ではまったく変形しない

 ●風景

 ・キナバル山(4095m)の頂。一体岩盤のようだ。まるく削られているのは氷河のためとの事。


 ・熱帯雨林、いわゆるジャングル。朝10時でも高い湿度のため、このような靄に包まれる。


 ・クアラセランゴール自然公園展望。


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